INTRODUCTION

義足のため日本でプロの夢を絶たれた男が
フィリピンでプロボクサーを目指した感動の実話
『キナタイ -マニラ・アンダーグラウンド-』(09)で第62回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞したフィリピンの名匠ブリランテ・メンドーサ監督作品。不条理な社会でもがきながら懸命に生きる人々を撮り続けてきた社会派監督が、義足のために日本でのプロボクシングライセンスが取得できず、フィリピンに渡りプロボクサーを目指した実話を基に、夢をあきらめない若者を描いた感動の物語。
主演は沖縄出身で国際的俳優として活躍している尚玄。本作ではプロデューサーのひとりに名を連ね、ボクサー体型を見事に作り上げた。

STORY

沖縄で母親と2人で暮らす津山尚生は、プロボクサーを目指し日々邁進している。ひとつだけ人と違うのは、幼少期に右膝下を失った義足のボクサーであること。ボクサーとしての実力の確かな尚生は、日本ボクシング委員会にプロライセンスを申請するが身体条件の規定に沿わないとして却下されてしまう。夢をあきらめきれない尚生はプロになるべくフィリピンへ渡って挑戦を続ける。そこではプロを目指すボクサーたちの大会で3戦全勝すればプロライセンスを取得でき、さらに義足の津山も毎試合前にメディカルチェックを受ければ同条件で挑戦できるというのだ。トレーナーのルディとともに、異なる価値観と習慣の中で、日本では道を閉ざされた義足のボクサーが、フィリピンで夢への第一歩を踏み出す。

STORY

津山尚生役
尚玄
Shogen
PROFILE >
ルディ役
ロニー・ラザロ
Ronnie Lazaro
PROFILE >
メリッサ役
ビューティー・ゴンザレス
Beauty Gonzales
PROFILE >
尚生の母親役
南果歩
Kaho Minami
PROFILE >
尚玄 / 津山尚生役
Shogen
2004年、戦後の沖縄を描いた映画『ハブと拳骨』でデビュー。 三線弾きの主役を演じ、第20回東京国際映画祭コンペティション部門にノミネートされる。その後も映画を中心に活動するが、2008年NYで出逢ったリアリズム演劇に感銘を受け、本格的にNYで芝居を学ぶことを決意し渡米。現在は日本を拠点に邦画だけでなく海外の作品にも多数出演している。近年の出演作に『ココロ、オドル』(19)、『Come & Go』(21)、『JOINT』(21)など。今後『Sexual Drive』(22)、『DECEMBER』(23)の公開を控えている。
ロニー・ラザロ / ルディ役
Ronnie Lazaro
1957年11月14日生まれ。フィリピン、ネグロス島出身。俳優業のほかにも、プロデューサー、キャスティングディレクター、アートディレクターとしての顔を持つ。最初の活動の場は舞台で、22歳にして共同演出を手掛けるなど活躍。映画俳優としても国内のみならず国際作品にも多く出演している。『Affliction』(08/未)では、フィリピンの映画批評家協会賞であるガワッド・ウリアン賞で主演男優賞を受賞。本賞では、7度ノミネートされており、フィリピンが誇る名バイプレーヤーのひとりである。
ビューティー・ゴンザレス / メリッサ役
Beauty Gonzales
1991年5月28日生まれ。フィリピン、ネグロス島出身。2006年にセブ島を中心とする中央ビサヤ地方のミスコンで優勝。2008年にフィリピンの国民的リアリティーショー「ピノイビッグブラザー」で人気を博し、テレビと映画で活躍し始める。主にロマンティックドラマに出演し、フィリピンの国民的女優となった。
南果歩 / 尚生の母親役
Kaho Minami
1984年、短大在学中に映画『伽椰子のために』のヒロインオーディションに応募、主役に抜擢されてデビュー。1990年にエランドール賞、1989年に「夢見通りの人々」でブルーリボン映画賞最優秀助演女優賞、2005年『お父さんのバックドロップ』で高崎映画祭最優秀助演女優賞を受賞。近年の主な出演作に、【舞台】『あの出来事』(19)、『オイディプスREXXX』『パーマ屋スミレ』(16)、「モリースウィーニー」 映画】『脳天パラダイス』(20)、『Oh Lucy!」「Masterless」【ドラマ】『定年女子」大河ドラマ『麒麟が来る』(NHK・20)朝ドラ「梅ちゃん先生」など、そして『PACHINKO』(AppleTV・22)が全世界に配信中。2022年に『MISS OSAKA』の公開が控えている。エッセイ『乙女オバさん』(小学館)が発売中。

STAFF

監督
ブリランテ・メンドーサ
Brillante Ma Mendoza
1960年7月30日生まれ。フィリピン、サン・フェルナンド出身。プロダクションデザイナーとして活動を始め、その後CMディレクターとなり成功を収める。初長編監督作品『マニラ・デイドリーム』(05)がロカルノ国際映画祭のビデオ部門金豹賞を受賞し世界に名を知られるようになる。『キナタイ─マニラ・アンダーグラウンド─』(09)で第62回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞。『グランドマザー』(09)で第66回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品。イザベル・ユペールを主演『囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件』(12)は第62回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品され、世界三大映画祭のコンペティション部門された。ダンテ・メンドーサ名義でほぼ全ての監督作でプロダクションデザインも担当している。
本作は監督初のスポーツをテーマにした映画である。

DIRECTOR’S NOTE

プロデューサーが障がいを抱えたボクサーの話をもってきたとき、そのアイデアはとてもいいと思いました。私たちはいつも、ハンディキャップや抑圧に立ち向かう人々を尊敬していますから。しかし、当時懸念していたことの一つに、他にも身体障害がありもっと多くの功績を残して成功しているアスリートが世界中にいるだろうから、ストーリーがそこまでユニークに思えないかもしれないということがありました。
したがって、私たちは参照になる人物の生活、何を映画の題材にするか、何がより映画に深みをだすことができるのかを、徹底的なリサーチをして、障がいがある人たちが直面する困難だけでなく、映画が観客に提起できる問題や注目すべき事柄なども追及しました。

ボクシングを観るとき私たちはよく、華やかさや名声、勝者などに注目しますが、実際試合の背景にはそれ以上に多くのことが起こっています。そこで、リサーチのためにジェネラル・サントス、そして日本にも足を運びました。その経験は私に、プロのボクサーを目指そうと奮闘している人たちの間にも違いがあり、体が不自由であるかそうでないかは関係なしに、貧困から脱却し生きるため、そしてマニー・パッキャオのようになるため、あるいは個人の功績ましてや名声は二の次で、家族に最低限の生活、できればより良い暮らしをさせてあげたいと思いその道に入ったフィリピンのボクサーたちもいるというとこに気づかせてくれて、それは実にフィリピン人らしいと思いました。

人間として、私たちは人生において目標を見失ってしまうような多くの試練に遭遇し、そしてこれらに打ち勝とうと試みます。この映画は、生まれがどうであっても、そこに障害物があったとしても、ハートと拳をもって熱意や自尊心のために、そしてリングの上だけでなく日常の生活においても愛する者のために戦い抜く、日本とフィリピンのボクサーたちへの贈り物です。
ブリランテ・メンドーサ

CREDIT

Cast

津山尚生:尚玄 ルディー:ロニー・ラザロ メリッサ:ビューティー・ゴンザレス 尚生の母親:南果歩 尚生の父親:ジェフリー・ロウ 尚生の妹:木佐貫まや ベン:ジュン・ナイラ ボン・ジョヴィ:ヴィンス・リロン タク:金子拓平

Staff

監督・製作:ブリランテ・メンドーサ 脚本:ホニー・アリピオ 撮影:ジョシュア・A・レイレス 編集:イサベラ・デノガ、アーマンド・ビング・ラオ、ピーター・アリアン・ヴィト 音響:アルバート・マイケル・イディオマ 音楽:ディワ・デ・レオン 美術:ダンテ・メンドーサ プロデューサー:山下貴裕、クリスマ・マクラン・ファジャード、尚玄 監督:ブリランテ・メンドーサ  出演:尚玄、ロニー・ラザロ、ビューティー・ゴンザレス、南果歩   2021年/日本・フィリピン/日本語・英語・タガログ語/カラー/ビスタ/5.1ch/110分/原題:GENSAN PUNCH/字幕翻訳:岡田壯平/配給:彩プロ © 2022「義足のボクサー GENSAN PUNCH」製作委員会